はじめに
今年2024年の大阪湾はイガイ不作の影響もあってかイガイ飼育する人が増えた気がします。
釣り場へ行ってもイガイ飼育の話題になる機会が増えました。
そこでよく耳にしたのが「塩分濃度ってどれぐらいが適切なの?」
これまでイガイ飼育に関して何度かブログ投稿してきたが、塩分に関してはこれまでに殆ど触れて来なかったので、今回は「塩分と比重」について書く事にします。
過去の記事↓を前提とした内容になるのでよろしければ過去の記事も参考にしてください。
イガイ飼育に最適な塩分っていくつ?
私のイガイ飼育環境では、水温は24度、比重は1.022、塩分は30pptを最適値としてきました。
※上記の比重と塩分はハイドロメーターでの計測値です
いつもほぼ決まった場所で飼育用海水を汲んでいるのですが、これまで一度も外した事がなく上質な水質と判断しています。
その飼育用海水が大体それぐらいの塩分である事が多いという実績に基づいています。
ただ学術的な根拠が全くないので、ちょっと調べてみました。
文献を調査してみた所、下記レポートを見つけました。
※PSUとpptは別の定義ですが、数値としてはPSU≓pptと考えて差し支えないです。
30ppt以上を目安に塩分管理するのが良さげな気がしますねー🤔
下の画像は私の飼育水槽の測定結果で、水温は23度で29pptです。
ある日の釣行後にイガイ飼育の第一人者であるE教授と会話していて、水槽の塩分が低いのでびっくりしました(具体的な数値は失念しました🙇)
私の水槽の比重を言うと逆に驚かれてましたが🤣
この塩分の差は、大阪は淀川などの大型河川があり水潮気味になる傾向があって、私の水汲み場は大型河川から離れている事が原因と思います。
下の画像は、大和川河口に近い大阪南港で汲んだ海水で塩分は19pptとかなり低いですね。
水温は未測定ですがおそらく25~26度と思います。
塩分と比重の2つが出てきて何だかややこしいなーと思った人が多いと思います。
実際ちょっとややこしいです😅
でも結論を先に言うとイガイ飼育ではさほど気にする必要はないかと思います。
その辺りを後述します。
水温による塩分の変化
水温によって塩分は変わりません。
しかし、比重は変わります。
ここで、あれ?っと思った人、、、鋭いです!
塩分や比重の計測について
イガイ飼育をしている多くの人は、アナログ式のハイドロメーターを使っていると思います。
私が使っている海水用ハイドロメーターです。
こちらを使っている人も多いです。
デジタル式は正確ですがかなり高価です。
ハイドロメーターは「塩分計」ではなく「比重計」です。
※前節で書きましたが、比重は水温によって変化しますが塩分は変化しません。
なぜ市販のアナログ式ハイドロメーターは、水温で変化する塩分と水温で変化しない比重の目盛りが併記されているのか?
メーカーに問い合わせてみたところ、下記回答でした。
水温24度を基準にメーターの目盛りを振っていると思われたので、水温と比重の関係を調べてみた結果が下表です。
水温 | 20度 | 24度 | 29度 |
塩分30pptの海水の比重 | 1.022761094 | 1.022607498 | 1.022454305 |
ハイドロメーターの目盛りは30pptが約1.0221なので、水温が24度基準だとすると微妙に異なる数値になってます・・・
んー、なんで一致しないんだろ?🤔
何か条件が異なっているのでしょうが、ちょっとそれは置いておいて
という特性があります。
私の管理水温は24度なので比重も塩分もそのまま計測値を読み取って問題ないですが、
塩分でハイドロメーターの計測値を読み取ると
水温が24度より低いと実際より高め
水温が24度より高いと実際より低め
の計測結果になるという事です。
問題はその変動幅ですが、上表の20と29度では塩分に換算すると1ppt未満の変動幅です。
誤差はあるけどその程度なので、20~29度では許容範囲という意味かと思います。
更にややこしい話ですが、アナログ式ハイドロメーターはメーカーによって測定値に差があるという情報を得ました。
テトラ製が約30.5pptの時にディープシックスが約32pptで1.5pptの差が出てました。
信憑性は不明なのですが、そもそもアナログ式ハイドロメーターは誤差が大きい点も考慮して、塩分でいうと1pptぐらいは普通にずれると考えてマージンを見ておいた方がよさそうです。
塩分が低いと換水率が下がるのでマージンは塩分が高くなる振った方がよいと考えます。
水温と塩分から厳密な比重を求めたいというマニアックな方へ
参考までに上の表を計算した方法を下記しておきます。
結構面倒臭いねー
ハイドロメーターの目盛りと私の計算結果が一致しない理由は謎のままです。
この辺りに詳しい方がいましたら、ご教授いただけるとありがたいです。
水深による塩分の変化
水深によって塩分はほどんど変わらないとされていますが、外洋と違って沿岸は河川の影響を受けます。
真水は海水より比重が軽く河口付近では真水が流れ込むので表層の方が塩分が低くなります。
飼育用海水を汲む場合、できるだけ深い場所の水がよいとされるのはそういう理由もあります。
地球の海水濃度は34~35pptと言われているので、沿岸地域では如何に河川の影響を受けているのかがよく分かります。
塩分の調整
塩分が低い海水しか入手できないけど、塩分を高くしたいという人も居るかと思います。
そんな場合は人工海水で調整すると良いです。
急激な塩分の変化はよくないので、水槽にいきなり海水の素を投入するのではなく、別で作った少し濃い目の人工海水を少しずつ加えて水槽全体が混ざったら塩分を測定して、を繰り返して最終的な塩分に調整するとよいです。
おわりに(結論)
現時点での結論としては、イガイ飼育に最適な比重は
水温は24度、比重は1.022、塩分は30ppt
としたいと思います。
たまたまですが従来のままという事ですww
実際には最適値にピタリ合わせるという訳にはいかないので
水温は24度以下、比重は1.021以上
を目安にして大きく外れないように管理します。
塩分による換水率の変化を考慮した結論ですが、換水率以外も考慮すべき点があると思います。
まだ確定とまでは行かないですが、一旦は上記を最適値とします。
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