はじめに
落とし込みでメインのエサとなるイガイ(カラス貝)だが、年々採取できる期間や量が短くなっている傾向がある。※私の行動範囲である大阪~姫路での話です
イガイが付かない2019年
高水温のため8月でごっそり落ちてしまた2021年、2022年
そして今年2023年はイガイの付きが良くない上に、なんと6月で落ち始めるという異例の事態に・・・
6月上旬でこのスカスカ状態↑は無いわー
水温はまだ高くないので水潮等の水質悪化が原因と思われます(;´д`)
私は、内オモリ(いわゆるスライダー釣法)でアタリを出すのが好きなのでイガイは必需品です。
ミジでも代用できるけど硬いのでイガイと比べると楽しさが半減します。。
イガイが採取し難かったり落ちてしまった後でもイガイで釣りたい気持ちが強いので、2022年から本格的にイガイ飼育を開始しました。
イガイ飼育のノウハウもそこそこ溜まってきたので、2023年版として纏めておきたいと思います。
イガイ飼育のポイント
イガイ飼育に不可欠なのは、以下の3つの管理と思います。
・水質
・水温
・栄養
それぞれの管理について私なりの考えをまとめたいと思います。
水質管理
海水交換
毎日、海から海水を汲んで入れ替えできるなら自然に近い水質になるのでベストなのですが、毎日は汲みに行けないので、週に1回か2回、約20%ぐらい汲み置きした海水と入れ替えるようにしています。
入れ替える量が約20%なのは、汲んできた海水の水質が悪かった場合を想定しています。
汲んできた海水の水質が悪く大量に入れ替えてしまうとイガイが大量に死滅する恐れがあるので、20%程度入れ替えて様子を見ています。
ポリタンクやペットボトルに海水を汲み置きしています。
大量にイガイが死滅したりして一気に水質が悪化した場合は、大量に海水の入れ替えが必要になります。
汲み置きしておいて海水で足りない時に備えて、応急措置用に人工海水の素も用意しておく事をお薦めします。
最近の人工海水の素はカルキ抜きが不要で水道水に適量を溶かすだけで使えるのでとても便利です。
ろ過機
頻繁に新鮮な海水と入れ替えする事が困難な場合、ろ過機は必須アイテムです。
ろ過機は水をきれいにろ過するだけでなく、汚れを分解するバクテリアも繁殖させる事ができます。
飼育してみると分かるのですが、イガイからの排泄物が多いせいか水が結構汚れます。
ろ過しきれない排泄物や汚れは水槽の底に沈殿するので、水の入れ替え時に合わせて掃除しています。
掃除方法については、日々のメンテナンスで後述します。
ろ過機は、ポンプの稼働で騒音と振動、循環した水を戻す時の水跳ね音が出ますので、静寂性に拘る環境には不向きです。。
水温管理
イガイは水温が29度以上になると死んでしまいます。
実際の経験でもその通りで、読んだ論文でもそのように書いてました。
致死水温にならないように水温を管理する事が必須になります。
保冷剤
アイスクリームやケーキなどを買ったときに付けてくれる保冷剤をぶち込んでおけば、とりあえず水温は下がります。
当たり前ですが保冷剤が解けてしまったら水温は上がってしまうので、こまめな交換が必要になります。
水温は安定しないし、手間が掛かる方法なので、応急措置的な方法と考えています。
保冷剤は飼育時には使っていませんが、車の中での保存で使っています。
小型のクーラーボックスに保冷剤とイガイを入れて温度が上昇しないようにしています。
炎天下での車中は異常な高温になって短時間でもイガイが弱ってしまうので要注意です。
保冷剤が無ければコンビニで売っている凍らせた飲み物でも代用できます。
冷却ファン
扇風機で涼しくなるのと同じ原理で水温を下げる事ができす。
水槽で使う事を前提にした商品もあります。
風を当てる事で海水を気化させて水温を下げるので、水量が減ってしまい塩分濃度が変化する事に対する管理も必要になります。
冷却ファンによる水温低下は、簡易飼育でやってましたが数度下げるのが限界で、気温が30度を越える猛暑日が続くと致死水温になってしまいます・・・
致死水温の29度以下の28度なら大丈夫という訳ではないです。
弱っている個体は28度以下でも死んでしまいます(;´д`)
冷却ファンで水温を下げ切れない場合、保冷剤による冷却など、他の冷却方法を併用するしかないです。
クーラー
水温を下げるだけでなく、水温を一定に保持する機材です。
(冬はヒーターとして機能するものが多いです)
一定水温に保ってくれるので運用はとても楽チンです。
熱帯魚飼育やアクアリウム用として商品化されており、私が使っているクーラーはこれです。
私は約15Lの水槽を組んでいますが、小型で値段も手ごろで、気温30度を越える猛暑日が連続しても問題なく水温管理できてます。
ファンが回ってそれなりの騒音は出るので静寂性に拘る環境では不向きです。
イガイは水温が低い程、活動しなくなる、つまり体力温存して長生きするのでできるだけ水温を下げたいところですが、フル稼働するとランニングコストや水槽の結露等の問題が生じるので私は24~25度に設定しています。
ランニングコストについては後述します。
栄養管理
栄養は水質と密接な関係があります。
自然の海水には栄養分が多く含まれるので、汲んできた海水に頻繁に入れ替えるとイガイは大きく成長します。
これは実際に業務用水槽にて検証済です。
それなら水質が安定していて心無い人に盗られない海につけておけば良さそうですが、夏場の高水温は回避困難です。
前述の通り、週に1,2回、汲み置きしておいた海水に約20%入れ替えているのですが、それだとイガイは成長しません。
逆に少しずつ身痩せしていくので1~2か月ぐらい活かしておくのが限界です。
栄養となるプランクトンが足りないんでしょうねー
イガイ飼育と言いながら、イガイ保存になっているのが実態です。
栄養管理が一番できていない管理なので今後の課題です。
稚魚飼育用にプランクトンを売っているので機会があれば今後試してみたいと思います。
イガイ飼育のメリットとデメリット
そんなに手間暇を掛ける価値があるんかー?
イガイがなければ別のエサでもええやんけ?
はい、その通り、考え方は人ぞれぞれです!!
イガイ飼育のメリットはどこにあるのか?
当然デメリットもあります。
イガイ飼育する/しないのメリデメを私なりにトータルで考えた結果、イガイ飼育をしているので、その考えを下記します。
急いでイガイ採取したので量が足りなかった
いいイガイが取れなかった
もう悲惨としか言いようが無いです・・・(;´д`)
例えば、イガイがドンドン落ちている時や落ちてしまった時を思い出してください。
イガイが付いている場所を探すコスト
イガイが付いている場所へ移動するコスト
イガイが付いてない時に通販などで入手するコスト
等々
イガイを手にするまで、結構なコスト(時間や費用)が掛かってませんか?
私はこれらのコストをトータルで考えた結果、イガイ飼育した方がお得でメリットがあるという結論に至りました。
私の単金は高いのかな??ww
イガイ飼育の水槽
ホームセンターで蓋付きの適当なサイズのコンテナボックスを見つけて水槽にしています。
水槽内の水量は約15Lですが、循環している分があるので実際の海水量は16Lぐらいです。
海水を循環させるときに水跳ねするので蓋は必須です。
上の写真で壁にたくさん水滴が付いているのがわかると思いますが結構水跳ねします。
蓋にも同じぐらい水滴が付きます。
海水を汲み上げて戻すための配管が必要なので、蓋に切り欠き加工を施しています。
設置場所をコンパクトにするために、ろ過機とクーラーはコンテナボックスの蓋の上に置いています。
白い台は、発泡スチロール製のクーラーボックスの蓋で、防音・防振効果もあります。
イガイは採取した日ごとにカゴに分別していて、古いものから使っていきます。
カゴは水槽に直接入れるのではなく、底上げした台の上に乗せています。
底上げするのは、底に沈殿する排泄物やゴミなどから遠ざけるためです。
底上げには、100均で見つけた吸盤式タオルハンガー(2個)と格子状の棚の天板を流用しています。
吸盤式で伸縮構造で自由に長さと高さが調整できるので使い勝手は良好です!
メンテナンス
日々のメンテナンス
最低でも1日1回はイガイの状態を見た方がよいです。
死んでいる個体があったら水質を悪化させてしまうので、速やかに除去する必要があります。
死んでいないに口を開けている個体がありますが、ツンツンしてやると口を閉じるのですぐにわかります。
週1,2回程度、海水交換ついでに、お掃除します。
海水交換は手動ポンプを使うので水槽は台の上に置いて高さを確保しています。
底に沈殿したゴミや汚れと一緒に水を汲み上げます。
いつも2,3Lほど水を抜いて、汲み置きした海水に入れ替えます。
海水入れ替えに使うポンプは、ストーブに灯油を給油するときに使うシュポシュポと同じサイフォン原理の手動ポンプです。
機材のメンテナンス
1年に1回、ろ過機のポンプを分解清掃して、配管パイプを外して内側に付着している汚れを専用ブラシで洗浄する程度です。
ランニングコスト
最近は電気代が高騰しているのでランニングコストが気になる所ですが、
カタログスペックだと、クーラーが75W、濾過機が3W
ろ過機は常時稼働していますが、クーラーは必要な時だけ稼働するで、たぶん1か月でワンコインぐらいだと思います。
おわりに
ミドリイガイやフジツボの飼育にも使えますので、夏から冬に掛けて半年ほど稼働させています。
イガイの本物に代わる代用エサが出てきたら飼育は不要になるのでしょうが、私が現役でいるうちは登場しそうな気がしません(笑)
私と同様に、イガイでの釣りに拘りがある方々の参考になれば幸いです。
ちなみに、簡易的な飼育方法は過去の記事にあるので参考まで。
謝辞
大阪北港の常連には、イガイ飼育マイスターがいます。
E教授→ブログはこちら
1091MAKOTO→Twitterはこちら
この記事で書いた内容には、お二人がSNSで発信していたり、直接お話して聞いた情報が含まれています。
有益な情報をありがとうございましたm(_ _)m
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